(注意)ネタバレ:結末を含めて、とても多い。まだ見ていないなら、しっしっ! 早く行って、『リボンヒーロー』を先に見てきて!
サファイアとベルベットは、同じ災厄を終わらせようとする。ところが、サファイアは、誰ももう犠牲になってはならないと信じて、ベルベットは、もっと大きな被害を防ぐためには、ある程度の犠牲は引き受けなければならないと考える。
二人とも、「ネルガル」が人々の暮らしを壊す現実を変えたいと思っているけれど、一人は犠牲を拒み、もう一人は犠牲を含む現実的な解決策から探す。
『リボンヒーロー』でいちばん面白い対立は、英雄と悪役の戦いより、まさにこの違いにある。
✦ サファイアの旅
シルバーランドからリボンヒーローになるまで
サファイアは、故郷のシルバーランドがネルガルに崩されたあと、ジルコと一緒に、隣の王国のゴールドランドへ避難する。故郷と家族を失ったまま、見知らぬ土地に着いたサファイアは、鉱山で働きながら、新しい人々と生活を営み始める。
ところが、鉱山にネルガルがまた現れて、水晶がいっぱいの場所で、サファイアはリボンの力を目覚めさせて、リボンヒーローに変身する。
目の前の人々を救う力を得た瞬間から、サファイアは、逃げて生き残るだけで止まらず、ほかの人たちが同じことを経験しないように戦い始める。
✦ 二人のタイプをひと目で
この記事の場面解釈
この記事では、二人が実際にどんな選択をするかに合わせて、タイプを決めてみる。この記事の解釈では、サファイアはENFJ 2w1、ベルベットはINTJ 1w9だ。
サファイア ENFJ 2w1、人を集めて希望をつくる英雄
サファイアのENFJらしさは、一人で強くなるだけで終わらないという点だ。リボンヒーローに変身してネルガルを倒したあと、サファイアが得るのは、戦う力だけではない。恐怖に押されて抵抗をあきらめた人々に、もう一度立ち向かってみる理由をつくってあげる。
サファイアの勇気は、周りの人の心を動かして、彼らも自分にできるやり方で、戦いに参加し始める。この人物は、力を得たあとで人々と離れていく英雄ではなく、自分の行動で人々をもう一度つなぎ直す英雄だ。
✦ タイプの説明
ENFJ、INTJ、2w1、1w9
エニアグラムの2番の核心は、他の人の必要を見つけて、直接助けるところにある。そこに1番のウイングが加わった2w1は、助けたい気持ちに、善悪についての基準が強くつくタイプだ。
サファイアがゴールドランドを自分の故郷のように思うのも、ネルガルに苦しめられる人たちを、他人事にしないからだ。自分が経験した喪失を知っているぶん、同じ喪失をほかの人に繰り返させる選択を、受け入れられない。
もちろん、この性向は、サファイアを窮地に追い込むこともある。ベルベットは、サファイアに、創造の柱(Pillars of Creation)を破壊することが、昔の故郷で起きたことを償う道だと説得する。
サファイアが人々を守りたがっているだけでなく、自分が生き残ったという事実にも罪悪感を抱いていることに触れるのだ。サファイアの善意は本物だけれど、まさにその善意のせいで、他人の苦痛まで全部自分の責任として背負い込む危険がある。
誰かを救いたい気持ちが強いほど、「自分がもっとやらなきゃ」という考えで、自分を追い込みやすいわけだ。
ベルベット INTJ 1w9、犠牲を計算に入れる冷静な改革者
ベルベットは、サファイアと違って、感情を前面に出して人々を集めない。ゴールドランドの鉱山と宗教権力の周りで動きながら、ネルガルの脅威を終わらせるには、何を壊さなければならないか、誰の力を利用しなければならないかから計算する。
彼が終わらせようとするのは、灰の王(King of Ash)に子どもたちを生贄として捧げて平和を保つ体制だ。ベルベットがサファイアに近づいたのも、偶然の親切だけでは説明しにくい。
彼はサファイアの力を利用して、ネルガルが行き来する柱をなくし、繰り返される犠牲の輪を断とうとする。
だからベルベットは、INTJ 1w9と読める。INTJの戦略的な面は、目の前の戦いに勝つことより、問題をつくり続ける構造をなくそうとする態度に表れる。
エニアグラムの1番は、世の中がそうあるべき姿と実際の姿の間の差を、耐えにくく思うタイプで、9番のウイングは、その信念を、穏やかで統制された方式で押し進める雰囲気を加える。
ベルベットは、残酷な制度をなくしたがりながらも、これまで回ってきた秩序を崩す代償を計算しながら動く人物だ。
✦ 二人の関係の変化
共通の敵から異なる哲学まで
彼の問題は、目標より方法にある。ベルベットは、犠牲の制度が間違っているとわかっていながらも、一度にみんなを救うことはできないと見て、サファイアの罪悪感を、作戦の一部として使う。
サファイアには、自分の力がほかの人を救えるという可能性が見えるけれど、ベルベットには、その力が、古い問題を解決できる手段としてまず見える。人を救うための計画が、人を道具のように扱う瞬間、正義に向かう戦略も危うくなるのだ。
✦ サファイアとベルベットの違い
同じ目標、違う出発点
二人の違いは、「温かい人と冷たい人」では終わらない。サファイアは、苦しむ人が目の前にいるとき、その人たちを犠牲にする規則から拒む。ベルベットは、規則を変えるには、まずその規則を利用しなければならないと判断する。
サファイアは、人の苦痛から出発して制度へ向かい、ベルベットは、制度の構造を変えようとして、人を計画の中に入れてしまう。同じ目標に向かいながらも、出発点がまったく違うわけだ。
最後の選択が二人を分ける
✦ サファイアの最後の選択
結末で起きること
結末でサファイアは、失った両親と故郷が戻ってきたような幻に向き合う。そこに残れば、消えたすべてを取り戻したような安らぎを味わえるけれど、その平和は、本当の暮らしの代わりにある幻だ。
サファイアはその誘惑を拒んで、灰の王の核を破壊したあと、生き残った人々のところに戻る。そして、ジルコと一緒に、シルバーランドの廃墟に向かい、両親と故郷を失った悲しみに向き合う。
悲しみが消えたからではなく、悲しみをなくすために偽りの世界を選ばないと決めたのだ。
この選択は、サファイアのENFJ 2w1をいちばん鮮明に見せてくれる。サファイアが守ろうとするのは、思い出の中の完璧な王国ではなく、いま生きている人々と、彼らがもう一度暮らしを営む可能性だ。
一方、ベルベットは、犠牲を減らすために犠牲を計算に入れて、サファイアは、そもそも誰かを捧げなければ保てない平和を拒む。ベルベットが問題を解決する道を探す戦略家なら、サファイアは、その解決策が誰を犠牲にするのかを最後まで問う人だ。
ベルベットは、単なる悪役より面白い人物だ。彼は人々を苦しめることが目的ではなく、より多くの人が生き残る方法を探すうちに、残酷な秩序に長く適応しすぎた人物に近いから。
だからサファイアの登場は、ベルベットにとっても居心地の悪い問いを投げかける。本当に、ほかの方法はないのか? 誰かの犠牲を当然のコストとして受け入れる瞬間、その体制を崩そうという計画までもが、体制の論理に似てきてしまうのではないか?
だから、多くの人がサファイアの選択に心を寄せるのだろう。ベルベットの計算は現実的かもしれないけれど、現実的という言葉は、残酷な規則を永遠に保ってもいいという意味ではないから。
サファイアは、一人ですべてを完璧に解決できると信じているからではなく、誰かを犠牲にすることが唯一の答えだという考えから拒むのだ。
リボンは、サファイアを強くする飾りであり、すでに決まった運命と役割を脱して、自分のやり方で戦うという印のようにも見える。そのリボンがいちばん輝く瞬間は、敵を倒すときだけでなく、みんなが当然と思っていた犠牲の規則を、受け入れないときだ。
今回はここまでにするよ。また会おう。
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