世界を滅ぼす神が、なぜ憎めないのだろう?
第7宇宙の破壊神ビルスは、機嫌が悪くなると惑星を吹き飛ばしてしまう存在だ。ところがファンは、彼を憎むどころか、好きでいる。2026年のENHANCEDエディションで帰ってきた『ドラゴンボール超 ビルス』でも、その魅力はそのままだ。
破壊神ビルスはどんな神なのか
✦ ビルスをひと目で
第7宇宙の破壊神
ビルスは、2013年の劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』で初めて登場した。猫に似た外見で、お供であり武術の師匠でもあるウイスをそばに置いている。
数十年単位で昼寝をして、おいしい食べ物の前では弱くなって、機嫌をそこねると惑星を消してしまう、気まぐれの持ち主だ。
見た目には破壊を楽しんでいるように見えるけれど、破壊神の公式の役割は、宇宙の均衡を保つことだ。ただ、ビルスは、個人的な感情と気まぐれで壊すこともある人物だ。職務のためではなく、腹が立って壊す場合もあるということだ。
このグレーゾーンが、ビルスを悪役ではないキャラクターにしている。
✦ ENHANCEDエディション、何が変わったか
既存のテレビアニメをもとに
『ドラゴンボール超 ビルス』は、既存のテレビアニメをもとにしたENHANCEDエディションだ。新規・作画し直したカットの追加と、既存シーンの修正、全体の映像の再レンダリング、セリフの新規収録と、追加された音楽・効果音、ストーリーの再構成が行われた。
ドラゴンボール40周年の記念プロジェクトでもある。
日本では10月11日から、フジテレビ系で、毎週日曜日の夜11時15分に放送を始めた。10月8日のニューヨーク・コミコンでは、第1話が先に公開された。韓国ではアニボックスで見られる。
悟空の声は野沢雅子、ビルスは山寺宏一が担当している。
ビルスのMBTIはESTP
参考までに、ここで言うMBTIは、公式設定ではなく、ファン投票で決めた分類だ。
✦ ビルスの性格タイプをひと目で
ファン投票の分類
ビルスは、PDBの投票でESTP 150票に分類された(2026年10月15日確認基準)。エニアグラムは8w7と出た(70票)。8w7は、挑戦的で自己主張の強いタイプだ。
ビルスが自分の気分のままに行動しながらも、他人の顔色をうかがわない理由が、ここにある。ESTPは、外向・感覚・思考・知覚。即興的で現在中心、論理で判断するタイプだ。
ビルスの行動を見ると、ぴったり当てはまる。急に眠り込んで、前足をなめて、おいしい食べ物に目の色を変える猫のような姿。そうかと思うと、機嫌が悪くなったとたんに一気に爆発する切り替え。威厳と間抜けの間を行き来するコミックのタイミングが、笑いをつくる。
無愛想なのに、悟空とベジータをさりげなく気にかけるツンデレの一面もある。二人の修行を主に担当する人物はウイスだけれど、ビルスもピンチのときは助けてくれる。
ビルス vs 悟空、同じ自由さ、違う温度
✦ ビルス vs 悟空
同じ自由さ、違う温度
悟空はESFPだ。PDBの投票で、Four Letterの総1529票のうち、ESFPが1194票を獲得した(2026年10月15日確認基準)。ENFPという意見もあるけれど、投票ではESFPが圧倒的だ。
二人は似ている点が多い。外向的で即興的で、現在を楽しむ自由さだ。ところが、判断する方式が違う。
MBTIで、Tは、意思決定のとき、客観的な原則と論理的な結果を相対的に重視する好みで、Fは、人と価値に及ぼす影響を相対的に重視する好みだ。
ビルスが客観的な基準を重視する姿、悟空が仲間と心を重視する姿が、それぞれ際立つ。
ビルスが相手を評価するときの基準は、強さと論理だ。悟空が動くときの基準は、仲間と心だ。同じ自由さなのに、一方は氷のようで、もう一方は火のようだ。二人とも楽しさを原動力にしている点も似ている。
つまらなければ、ビルスは寝てしまい、悟空は次の戦いを探す。
ビルス vs ベジータ、同じ強さ、違う方式
✦ ビルス vs ベジータ
同じ強さ、違う方式
ベジータはESTJだ。PDBの投票で、ESTJが628票で最多だった(2026年10月15日確認基準)。ちなみに、メディアによってENTJ・ISTP・INTJという説もある。
二人とも強さを重視するけれど、方式は正反対だ。MBTIで、Jは、結論を出して物事を整理する方式を、Pは、選択肢を開けておいて新しい情報を探る方式を、相対的に好む傾向がある。
ビルスはそのときどきの気分で動いて、数十年眠ったあとに爆発する。ベジータは計画を立てて、その計画どおりに体を鍛える。ファンの解釈では、ビルスの即興的な姿はP、ベジータの規律ある修行の姿はJと見ることができる。
ただ、この対比はキャラクターの行動についての解釈であって、タイプが行動を必然的につくるという意味ではない。
ビルスの原動力は楽しさだ。楽しければ動くし、つまらなければ寝る。ベジータの原動力はプライドだ。悟空に勝つというプライドが、彼を鍛え続けさせる。ベジータは楽しさではなくプライドで動く。だから、つまらなくても、プライドのために修行をやめない。
同じ強さなのに、一方は風のようで、もう一方は岩のようだ。
鳥山明はなぜ破壊神を猫にしたのか
✦ 破壊神のデザイン、どう変わったか
鳥山明の選択
鳥山明は、インタビューで明かしたことがある。最初に受けた破壊神のデザインは、邪悪で暗いキャラクターだったという。ところが鳥山は、家族が飼っていた猫を参考にしてデザインした。
だから、破壊神という名前と違って、暗さよりも、恐れとかわいらしさが一緒に残るキャラクターになった。恐れは残しておいた。ビルスは今も惑星を消せる存在だから。怖いのにかわいい、その綱渡りがビルスの正体だ。
こうしたデザインが、ビルスのあらゆる魅力をつくった。破壊を楽しむ残酷な神ではなく、猫のように気まぐれで食べ物に弱い神。怖いのにかわいい、その矛盾がファンを引きつける。
強さの三つの顔
✦ 強さの三つの顔
三人の強さの比較
ビルスの強さは、自由と論理だ。悟空の強さは、自由と温かさで、ベジータの強さは、規律とプライドだ。
三人とも、現在と行動が中心だけれど、それぞれ違う理由で強い。だから三人がぶつかるたびに、話が面白くなる。ビルスが悟空の純粋さにあきれて、ベジータのプライドに鼻で笑う場面が、だから笑える。
破壊を楽しむ神が憎めない理由は、彼が悪役ではないからだ。職務として破壊して、猫のように振る舞って、さりげなく気にかけてくれる神。そんな神なら、次にまた何を壊すのか気になって、ずっと見てしまうよね?
今回はここまでにするよ。また会おう。
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